バーテンダー裏話！【お客さんにお水を出して怒られた話】思考停止バーテンダー旦那？！

今日は、その昔バーテンダー旦那がお客さんにお水を出して、先輩に怒られた話をしようと思います。

そう、不思議でしょ？

これホテルのバーに勤めていた時の話なんだけど、その先輩バーテンダーが怒った理由を聞いて当時20代だったバーテンダー旦那は驚愕しましたね。

ホテルのバーってお昼から営業してるとこが結構あるんです。

ランチが終わって午後3時くらいから夜のバー営業が始まる午後6時くらいまでは、比較的まったりしたティータイム。

そこに年配の欧米人のジェントルマンが来たんですよ、お一人でテーブル席に。

ウエイターの自分はお水とメニューを出して、オーダーをとりましたよ。

オーダーは、カルバドスとエスプレッソ。

お昼の営業はまずお水とメニューを出す。

これがマニュアル。

最初、お客さんにメニューだけ持っていった時、先輩に言われました。

「お前は喫茶店に行ったことがないのか？喫茶店で席に着いたらまず何が出てくる？」

「お水です」

「そうだろう。こんなことは世界共通の常識だ！」

次の日もほぼ同じ時間帯にそのジェントルマンは来店、お水を出して、オーダーをとりました。

カルバドスとエスプレッソです。

また次の日も同じ時間帯にそのジェントルマン。

カルバドスとエスプレッソ。

お水を出してオーダーをとって、そのオーダーをバーカウンターで通そうとした時、先輩にいわれました。

「お前、今なんで水出したんだ？馬鹿か！」

いやいやいや「お昼はまずお水！」って教えたのあなたじゃないですか！

先輩曰く「あのお客さんは、エスプレッソをチェイサーにカルバドスを楽しみに来てるんだよ。そこに不要な水なんか出すな、馬鹿！」

ハッ！としましたね。

確かにそういわれれば、初日も２日目も３日目の今現在もそのジェントルマン、お水には一切口をつけてない！

そう、先輩は一客のそんなところまでカウンターの中からちゃんと見てたわけです。

そんなこととはつゆ知らず、呑気にマニュアル通り「はい、お客さん来た、お水出します」ってお水を出してした。

やっぱり一流ホテルのバーテンダーは違うなー、先輩カッチョいいなーって思いましたね。

そう、ホテルバーという素敵な内装の空間付加価値、クオリティが高いカクテルの商品付加価値、そこにバーテンダーのサービス付加価値が加わって、同じ飲み物でもそれなりの高い料金がとれるわけですね。

でも、こういったサービスを実際現場でするのってすごい難しんですよ。

各個人の器量にかなり頼る事象なんですよね。

なので、実際現場ではある程度マニュアルに頼ることになるんだけど、ここがなかなかの落とし穴。

思考停止に陥りやすくなっちゃう。

例えば、「お客さんのグラスは常に1/3以上飲み物が入っていないといけない」とかあるわけですよ。

「1/3以下になったらおかわりを伺う」と。

でもそのタイミングなんて飲み物・そのお客さんのペース・何杯目なのか？とか様々な要素によって変わってくるわけですよ。

一方スタッフはマニュアル通りに動いちゃうし、そうしないと「おい、あそこ1/3しかないぞ！おかわり聞いてこい！」とマネージャーに怒られるわけです。

怒られるの嫌ですからね、そりゃみんな必死に聞きますよ。

その結果、グラスが1/3になろうものなら、スタッフが代わる代わるおかわりを聞きにやってくる。

アップセールスなんていってますけど、店側の勝手な都合ですよね。

場面、場面を切り取ってマニュアルに従ってる限り、サービスに付加価値なんてつけられないですよ。

マニュアル化できるってことは、究極は人でなくてもいいってことだと思うんですよ。

AIに任せればいい。

バーテンダーの大先輩の言葉に「結局、僕たちの売り物って自分しかないんですよね」ってのがあるんですけど、まさにその通り。

最終的には、バーテンダーってカクテルやウィスキーを売ってるんじゃなくて（実際は売ってるんですけど）、そういった知識や経験、最終的には自分自身を売ってるのかもしれませんね。